【2月7日 AFP】南米アマゾン(Amazon)の熱帯雨林は、1492年の欧州人による南北アメリカ大陸入植のはるか以前から、数千年にわたって先住民により手が加えられていたとする研究論文が6日、発表された。ブラジルの一部地域から、円形の溝などが多数発見された。

 これまでに確認されている円形の溝あるいは地上絵の数は数百に上る。作られた目的は不明だが、ここで何らかの儀式が行われていた可能性もあるという。研究論文は、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 ブラジル西部アクレ(Acre)州の約450の地上絵や溝は、近年の森林伐採とその様子を撮影した航空写真が手掛かりとなって発見された。

 論文の主執筆者でブラジル・サンパウロ大学(University of Sao Paulo)の考古学・民族誌学博物館(Museum of Archaeology and Ethnography)博士研究員のジェニファー・ワトリング(Jennifer Watling)氏は、「このような場所が、生い茂る熱帯雨林の下に何世紀もの間、隠されていたという事実は、アマゾンの森林が『原始のままの生態系』であるという考えに大きな異議を唱えている」と語った。

 この地域で考古学者らが見つけた遺物は非常に少ない。また1万3000平方キロにわたって見つかったこれらの構造物が、村や防衛目的で築かれたものとは考えにくい。研究チームは、人が竹林を開拓して小さな空き地を作ってそこにヤシなどの植物を持ち込み、利用価値の高い特産物を扱う『先史時代のスーパーマーケット』のようなものだった可能性もあると述べている。

 研究は、最先端の技術を使って再現した約6000年分の植生モデルや、溝/地上絵2か所の周辺での森林火災の記録を基に進められた。(c)AFP