【2月3日 AFP】スペイン・プロサッカーリーグ機構(LFP)のハビエル・テバス(Javier Tebas)会長は2日、同国2部のラージョ・バジェカーノ(Rayo Vallecano)に期限付きで移籍したウクライナ代表のロマン・ゾズリャ(Roman Zozulya)が、わずか一日で古巣に追い返された件で、脅迫したファンに法的措置をとる可能性を示唆した。

 ゾズリャは先月31日にレアル・ベティス(Real Betis)から半年間のローンでラージョに加入したものの、自身の政治的な姿勢がラージョファンの誤解を招いて抗議に遭い、2月1日には古巣に戻ることを余儀なくされた。ゾズリャが初めて練習場を訪れた1日、クラブの極左サポーター団体は「バジェカス(Vallecas、ラージョが本拠地を構える地区)はナチスの場所ではない」と記された横断幕を掲げていた。

 ラージョ、スペインサッカー連盟(RFEF)、スペインサッカー選手協会(AFE)は2日、「リーグ、ラージョ・バジェカーノ、AFEはこの件で一致団結し、圧力には屈しないという立場を守ることを確認したい。公私ともに選手の安全を保障することで合意している」と共同声明を発表し、安全が確認されたのちの13日に、ラージョに移籍するか否かをゾズリャが決断すると明かしている。

 LFPのテバス会長は「今後の聞き取りで明らかな強要が判明した場合、もしくはラージョや選手から脅迫があったと告げられた場合、私は強要罪で法的措置を講じる」と語った。

 ベティスの選手一同は2日、共同声明でゾズリャへのサポートを表明。主将のホアキン・サンチェス(Joaquin Sanchez)は、チームメートに囲まれる中、「私たちは同僚のロマン・ゾズリャを苦しめた出来事に怒りを表すためにここにいる」と声明を読み上げた。

「私たちはサッカー選手に対する公開リンチを目撃している。ここにきてからの彼のプロ精神や立ち居振る舞いには非の打ち所がない」

 母国でロシア軍と紛争を抱えていたウクライナ軍に協力していたことを認めたものの、民兵組織やネオナチ組織とのつながりは否定した27歳のゾズリャは、2日にラージョファンに向けた文書で、自身が極右思想の持ち主であるという批判は、ベティスとの契約のためスペインに渡ったときに着ていたTシャツに描かれていたシンボルで誤解があったためだとしている。

 今季開幕前にウクライナ・プレミアリーグのドニエプル・ドニエプロペトロフスク(FC Dnipro Dnipropetrovsk)から移籍金なしでベティスに加わったゾズリャは、スペインでここまで6試合に出場していた。しかし、ラージョでの選手登録が完了していたため、ゾズリャは古巣に戻ることになったとしても、ベティスで今季プレーすることができない。(c)AFP/Kieran CANNING