【2月1日 AFP】(写真追加)海外の中国語メディアなどは先月31日、香港(Hong Kong)で先週、中国の大富豪、肖建華(Xiao Jianhua)氏が本土の公安当局により拉致された疑いがあると報じた。だが1日に香港の地元紙に肖氏の名で中国政府への忠誠を誓う声明が発表され、同氏の行方に関する謎が深まっている。

 海外の中国語メディアなどによると、投資家で中国で最も裕福な富豪の一人として知られている肖氏は当時、長期にわたって香港の高級ホテル「フォーシーズンズ(Four Seasons)」に滞在していたという。また英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は捜査関係者の話として、通常は女性のボディーガードたちによって警護されていた肖氏は、中国の公安当局によりホテルから連れ去られたと報じた。

 肖氏の消息は不明だが、同氏は、一部で習近平(Xi Jinping)国家主席の政敵を標的にしているとみる向きもある、中国政府の汚職撲滅運動の一環で拉致されたとみられている。

 調査報道紙として知られる明報(Ming Pao)は1日、「(中国共産)党と国家を常に愛してきた」との肖氏のものとする声明を1面で伝え、自身がまもなくメディアの前に姿を現すと報じた。またこの声明で同氏は「中国政府は開かれた組織で、法の支配を順守していると私自身は信じている」と記しており、「私は誘拐されてはいない」と強調した。さらに自身がカナダ市民であることも明らかにした。

 高度な自治が保障されている香港では、中国の公安当局は捜査権を行使できないが、2015年には中国政府に批判的な書籍を扱っていた出版社の社員5人が行方不明になり、同政府が一線を越えたと非難する声が巻き起こった。 (c)AFP