【2月1日 AFP】多くの人が四大大会(グランドスラム)における彼の常勝時代は過ぎ去ったと思っていた中、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が先月29日に行われた全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2017)決勝で自身18個目のメジャータイトルを獲得した。

 故障によるキャリア最長の離脱から復帰を果たしたスイスの天才は、大一番で宿敵ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)にフルセットで勝利。自身が誇る四大大会の歴代最多優勝記録を更新し、復活の2週間に終止符を打った。今回の優勝には、2012年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2012)を最後にビッグタイトルから遠ざかり、全盛期は通り越したとみなされていた35歳の本人が一番驚いているかもしれない。

 ナダルを6-4、3-6、6-1、3-6、6-3で破ったフェデラーは、1972年の全豪オープンを37歳で制したケン・ローズウォール(Ken Rosewall)氏に次ぐ、1968年のオープン化以降では2番目の年長記録を打ち立てた。

 特に長年の好敵手ナダルを打ち破って成し遂げた今回の偉業は、フェデラーこそがGOAT(greatest of all time、史上最高の意)であるとする主張をさらに強化する。

 絶対的な力を誇るアンディ・マレー(Andy Murray、英国)とノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が早期敗退を喫したことを受け、不可能かと思われた5度目の全豪制覇を成し遂げたフェデラーは、異なる三つの四大大会で5回以上(全豪5回、ウィンブルドン7回、全米5回)優勝した初めての選手となった。

 ナンバーワンとして史上最長となる302週間連続で在位し、2002年から2015年まで継続してトップ10に君臨し続けたフェデラーは昨季、膝のけがでシーズン後半6か月の欠場を余儀なくされると、世界ランキングは2001年以降では最低となる17位まで低下した。

 ミロス・ラオニッチ(Milos Raonic、カナダ)と戦ったウィンブルドン準決勝の最終セットで転倒したレジェンドは、7月以降は完全に実戦から離脱。昨年2月にキャリア初の手術を受けていたフェデラーは、リオデジャネイロ五輪と全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)も見送り、シーズンを完走できなかった。

 しかし、今年の全豪でトマス・ベルディハ(Tomas Berdych、チェコ)や錦織圭(Kei Nishikori)、そして準決勝ではスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)を破って自身28度目の四大大会決勝に駒を進めたフェデラーは、長期間の休養が大活躍のカギだったと振り返った。

 今回の結果、グランドスラムにおける優勝回数で2位のナダルとピート・サンプラス(Pete Sampras)氏との差を4、ジョコビッチとの差を6に広げたフェデラーは、歴代最多の四大大会通算314勝を誇るだけでなく、獲得賞金総額も1億ドル(約113億円)を超える。

 さらに獲得タイトル数89は、ジミー・コナーズ(Jimmy Connors)氏の109、イワン・レンドル(Ivan Lendl)氏の94に次いで、オープン化後では3位となっている。(c)AFP/Robert SMITH