【2月1日 AFP】陸上の欧州、及び英連邦の男子マラソンの元王者ロン・ヒル(Ron Hill)氏(78)が、52年以上欠かさず継続していた日課のランニングを休むことになった。

 英国の偉大なるランナーは、胸の痛みが原因でジョギングの継続中止を決断。1964年12月から日課を開始し、1万9032日間、毎日欠かさず走り続けていた。

 ヒル氏は3度五輪に出場し、1970年のボストン・マラソン(Boston Marathon)で優勝。その後、自身のランニング人生から得た経験と繊維化学の知識を役立てて、スポーツウエアのブランド、ロンヒル(Ronhill)を設立した。

 英国陸上競技連盟(UKA)によると、ヒル氏は2014年現在で計115回マラソンを完走。最後の出場は1996年のボストン・マラソンで、マラソン完走に2時間52分以上を要したのはその時が初めてだった。

 全世界のランニング継続記録を追跡するストリーク・ランナーズ・インターナショナル(SRI)によると、ヒル氏が最後に1マイル(約1.6キロメートル)を完走したのは先月28日だという。

 SRIで出した声明でヒル氏は、「400メートルもしないうちに胸が痛み出して、残りの800メートルはそれがひどくなるばかりだった。死んでしまうのだろうと思ったが、1マイルを16分34秒で完走できた。止める以外に他ない」とコメントしている。ヒル氏は、1993年には自動車事故で胸骨を骨折しながらも走り続けてきた。

 1969年の陸上欧州選手権(European Athletics Championships)と70年のコモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games、英連邦競技大会)のマラソンで金メダルを獲得したヒル氏だったが、五輪では栄光に恵まれなかった。1964年の東京大会では男子1万メートルで18位、4年後のメキシコ大会では同種目7位。1972年のミュンヘン五輪ではマラソンに出場し、6位に入っている。(c)AFP