【1月31日 AFP】大学で法学を学んだシリア人のアデル(Adel)さん(25、仮名)は、自分のパスポートに貼られた米国の査証(ビザ)を初めて見たとき、ニューヨーク(New York)にいる妻とようやく一緒になれることがにわかには信じられなかった。

 しかし27日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、シリアを含む複数の国の出身者の入国を90日間禁止する大統領令に署名した瞬間、アデルさんの人生は覆った。「あまりにショックだった。米国のビザを取るのがこんなに大変だと思ってなくて、やっと取れたら、何の意味もなくなってしまった」

 妻のラミア(Lamia)さん(22)は、米国人の父とシリア人の母が離婚して以降、ニューヨークに一人で暮らしていた。ラミアさんが正式に米国への招待を送ってきてから、アデルさんがビザを取るまでには1年かかった。その間、隣国レバノンの米国大使館に何度も電話をかけ、5回出向いた。駐シリア米大使館は、6年近くの間に31万人以上が死亡したシリア内戦の初期に閉鎖されていた。

 2週間前に米国のビザをようやく手にしたアデルさんは、シリアで挙げた結婚式から1年後にやっと渡米し、妻と一緒になれるはずだった。だが、期待から一変、まだシリアにいるアデルさんは「僕たちの間の距離はとてつもなく大きくなってしまった」と言った。(c)AFP/Maher Al-Mounes