【1月31日 AFP】86人の妻を持ち、このうちの82人と離婚するようイスラム法裁判所から命じられたことのあるナイジェリア人男性が死去した。93歳だった。男性の代理人が30日、明らかにした。

 ナイジェリア中部ナイジャ(Niger)州からAFPの電話取材に応じた代理人によると、ムハマドゥ・ベロ・マサバ(Muhammadu Bello Masaba)さんは28日に自宅で家族に看取られながら亡くなったという。死因は不明。マサバさんには子どもが170人いる。

 同州の州都ミンナ(Minna)のイスラム法裁判所は2008年、86人の女性と婚姻関係を結んだことについて、イスラム法に反するとの判断を示した。イスラム法では妻は4人までしか認められていない。この裁判所の判断について、「ババ(父親)」の愛称を持つマサバさんは、いかなる教義にも反していないと主張した。

 マサバさんの拘禁中、ニジェール州法務局の周辺では、86人の妻全員と子ども20人がマサバさんを支持して抗議デモを行った。マサバさんの裁判はその後、取り下げられている。

 代理人は、「ババは薬を飲まなかったし、薬を飲むよう人々に勧めることもなかった。これが彼の生き方だった。彼の家族は一人も欠けていない。86人の妻全員が、彼の最後を看取った」と語った。(c)AFP