【1月30日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)の国民啓蒙・宣伝相だったヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)の秘書を務めていた女性が「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー(International Holocaust Remembrance Day)」の27日、106歳で亡くなった。この女性についてのドキュメンタリー映画の制作者が30日、明らかにした。

 ゲッベルスの秘書兼速記者として、1942年からナチス政権崩壊の45年まで3年間働いたブリュンヒルデ・ポムゼル(Brunhilde Pomsel)さんは先週、独南部ミュンヘン(Munich)にある介護施設で亡くなった。

 昨年、ポムゼルさんへのインタビューを「A German Life(あるドイツ人の人生)」の題でドキュメンタリー映画としてまとめたクリスティアン・クロネス(Christian Kroenes)氏が公表した。

 ポムゼルさんはゲッベルスの執務室で働いた数人の秘書の一人で、ナチスの中枢を内部で目撃した最後の生存者だった。

 ドキュメンタリー映画のインタビューの中でポムゼルさんは、600万人が殺害されたユダヤ人大虐殺(ホロコースト)が起きていた当時は、何が起きているか「私たちは何も知らなかった」と述べていた。またアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)による独裁国家に言及し「私たち自身が巨大な強制収容所に捕らわれていた」のだと説明した。また「私はあまりに臆病だったから、ナチスに抵抗することはできなかった」と語り、罪の意識はないとも述べている。

 クロネス監督によれば、ポムゼルさんは高齢者施設にいたが意識は明瞭で、今月11日に誕生日を迎えたときに話した際も元気だったという。(c)AFP