【1月30日 AFP】今年4~5月に行われるフランス大統領選に向けて与党・社会党など左派陣営は29日、統一候補を決める予備選の決選投票を実施し、ブノワ・アモン(Benoit Hamon)前教育相(49)がマニュエル・バルス(Manuel Valls)前首相を破って勝利した。これにより、大統領選の主要候補が出そろった。

 党内左派のアモン氏は58.72%の票を獲得。第1回投票で接戦を演じた中道寄りのバルスを突き放した。アモン氏は「わが国は左派を必要としているが、それは未来を向いた現代的で革新的な左派だ」と、歓声を上げる支持者を前に勝利宣言した。

 左派陣営でのアモン氏の勝利は予想外の結果だった。ただ、大統領選に関する世論調査では5年にわたって政権を担った社会党が不人気なため、右派が支持を伸ばすと予想されている。

 このほかの大統領選の主な候補者は、右派・共和党のフランソワ・フィヨン(Francois Fillon)元首相、極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首、中道のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)前経済相。マクロン氏については、社会党が左傾化を強めていることが有利に働くとの見方がある。

 一方、昨年11月に右派陣営の予備選の決選投票で勝利した保守改革派のフィヨン氏は本命候補とみられていたが、議員予算から妻に8年にわたって約50万ユーロ(約6100万円)を給与として不正に支払っていたとする疑惑が浮上。さらに本人も上院議員時代に議員手当として最大2万5000ユーロ(約300万円)を着服したとの調査報道も流れ、選挙戦で打撃となる恐れが出ている。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT / Clare BYRNE