【1月27日 AFP】陸上男子短距離のウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)が、五輪で獲得した合計9個の金メダルのうち1つを失うことになるネスタ・カーター(Nesta Carter)のドーピング違反による失格処分を受け、ジャマイカ五輪委員会(JOA)は提訴する意向を示した。

 2008年北京五輪で採取された検体の再検査で、カーターは禁止薬物に指定されているメチルヘキサンアミン(methylhexaneamine)の陽性反応が出た。これを受けて、国際オリンピック委員会(IOC)は25日、同五輪の4×100メートルリレーを制したジャマイカの金メダル剥奪を発表した。

 JOAのマイケル・フェンネル(Michael Fennell)会長は26日、カーターの代理人とともにスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ異議申し立てを行うことを示唆し、「最善の法的措置に踏み切る決断を下しました。これはチーム競技です。われわれは選手たちを適切に保護し、彼らの汚名をすすぐ公正な機会を与えることに努める所存です」と語った。カーターの弁護士と地元クラブの関係者も同日、処分と闘っていく意向を示した。

 北京五輪の男子4×100メートルリレーで、カーターが第1走者を務めたジャマイカチームは、マイケル・フレイター(Michael Frater)、ボルト、アサファ・パウエル(Asafa Powell)を擁してトップでフィニッシュラインを通過した。

 リレーチームの処分が確定すれば、ボルトは北京五輪をはじめ、2012年ロンドン五輪と昨年のリオデジャネイロ五輪で成し遂げた男子100メートル、200メートル、4×100メートルリレーの「3種目3冠」のうち1つが欠けることになる。

 CASの広報担当者は26日、AFPの取材に対して、カーターと代理人から連絡は入っていないと回答。異議申し立ての期限は、IOCの裁定が発表された25日から21日後の2月15日となっている。(c)AFP