【1月22日 AFP】航空機墜落事故で多くの犠牲者を出したカンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部のシャペコエンセ(Chapecoense)が21日、新しいメンバーで事故後初となる対外試合に臨んだ。

 チームカラーである緑色に塗られたシャペコエンセの本拠地、アレーナ・コンダ(Arena Conda)で行われたパルメイラス(Palmeiras)との親善試合は、一般市民やメディアからの大きな注目が集まる中で開催された。

 オンラインで販売されていたチームのユニホームは完売し、さらに世界中から241人の記者が取材に訪れたが、ブラジル国内の失業率が過去最悪の水準に達する中、入場料が25ドル(約2900円)と高めに設定されたことが客足を遠のかせたのか、観客席は埋まらなかった。

 それでも、試合開始前に生き残った3人の選手へコパ・スダメリカーナ(2016 Copa Sudamericana)のトロフィーが渡されると、スタジアムは大きな拍手に包まれた。亡くなった選手の分のメダルは夫を亡くした夫人たちが代理としてピッチ上で受け取り、中には感極まる人もいた。

 生存者の一人である左SBのアラン・ルシェウ(Alan Ruschel)は、試合前の会見で「逝ってしまったみんなも、もし見ていてくれたなら、きっと喜んでいると思う」と話している。

 航空機は2016年11月28日、コロンビア・メデジン(Medellin)近郊に墜落し、乗っていた77人のうち、シャペコエンセの選手19人、クラブ関係者24人を含む71人が命を落とした。この試合では、71分に犠牲者を悼んで観客が起立して拍手を送った。これは今後、シャペコエンセのホームゲームでは恒例となる。

 4部からわずか5年で1部へ駆け上がり、さらに主要大会の決勝にはじめてたどり着くという、夢のような快進撃を続けていたクラブを襲った悲劇。チーム再建を余儀なくされたクラブは、期限付き移籍を中心にして新しく22人の選手を獲得した。

 選手獲得に尽力したディレクターのルイ・コスタ(Rui Costa)氏は20日、AFPに対して「この上なく力強い意思表示だ。このクラブは死なないというね」とコメント。新指揮官のヴァグネル・マンシーニ(Vagner do Carmo Mancini)監督は、試合を「大きな瞬間」と呼んだ。

 生き残った3人のうち、ルシェウとDFエリオ・エルミート・サンピエル・ネト(Helio Hermito Zampier Neto)はすでにリハビリを始めており、今季中の復帰を目指している。GKジャクソン・フォルマン(Jakson Follmann)は事故で片脚を失い、復帰の道を断たれている。

 試合は2-2の引き分けに終わっている。(c)AFP/Louis GENOT