■メラニア夫人を拒むのは、大統領選の低俗な側面と同じ

 一方で、メラニア夫人に衣装提供できれば光栄だと語るトップデザイナーらもいる。キャロリーナ・ヘレラ(Carolina Herrera)氏、ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane Von Furstenberg)氏、トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)氏らがそうだ。

 トランプ氏所有のトランプタワー(Trump Tower)に事務所を構えるヒルフィガー氏はWWDに対し、メラニア夫人に加え、新政権で重要な役割を担うと目されている娘のイヴァンカ(Ivanka Trump)さんについても、スタイリングを担当できるデザイナーは誰でも「誇りに思う」べきだと述べている。

 だが、こうした議論はある意味、的外れでもある。というのもメラニア夫人はネット通販を利用していることで知られており、欲しいファッションアイテムがあれば何の断りもなしにどんなものでも買えるからだ。

 メラニア夫人が昨年の大みそかに着用した黒のドレスは、「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)」のものだった。その事実をインターネット上で偶然写真を見て初めて知ったという同ブランドのデザイナー、ステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)氏は、インスタグラム(Instagram)に5つのハートマークを添えて「サンキュー」と投稿した。

 さらには、メラニア夫人に衣装提供を拒否するのは、昨年の大統領選における最も低俗な基準に合わせるようなものだと指摘するデザイナーもいる。

 ファステンバーグ氏は、「ファッション業界の一端を担う私たちの役割は、美と受容、多様性を推し進めることにあるはずだ」と戒めている。(c)AFP/Jennie MATTHEW