【1月18日 AFP】心臓の鼓動が人のとっさの判断に及ぼす影響を調べた異色の研究報告が18日、発表された。1回の鼓動が原因で人種的偏見に基づく判断をしてしまう恐れがあるという。

 英国の研究チームが行った実験で、白人とアジア人の被験者の心拍を監視しながら、武器を持たない黒人男性の写真を見せたところ、被験者が黒人男性を脅威と認識する確率は、心臓の鼓動の合間に写真を見せるよりも鼓動中に見せる方が高かった。

 研究チームによると、米国で多発している非武装の黒人が警察官に射殺される事件への対処法を考える上で今回の研究成果が役立つ可能性があるという。

 論文の共同執筆者、英ブライトン・サセックス・メディカル・スクール(Brighton and Sussex Medical School)のサラ・ガーフィンケル(Sarah Garfinkel)氏は、人種的偏見が引き起こす悲劇を減らすため心臓と脳の間の情報伝達に焦点を当てて考察していくために今回の結果が利用できると指摘した。

 心臓の鼓動一回一回が強力な信号を脳に発信していることは、すでに科学者らの間で知られていた。この信号は、鼓動の合間には発信されない。

 また、人種的偏見が原因で、黒人が手に持っている危険性のない物体を武器と勘違いするケースが多いことが過去の研究で分かっている。警官による黒人射殺事件にもこのようなケースがあったことが明らかになっている。

 だが、脅威の認識に関して心臓が頭脳に影響を及ぼす可能性があるかどうかは分かっていなかった。英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された今回の研究論文は、その可能性が実際にあるとしている。