【1月15日 AFP】全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2017)開幕を控え、女子テニスの世界ランキング1位で前回女王のアンゲリク・ケルバー(Angelique Kerber、ドイツ)が15日、自身初の四大大会(グランドスラム)連覇へ向けて重圧の高まりを認めつつ、雑音は遮断して大会に臨むと語った。

 ケルバーは前回大会の決勝でセレーナ・ウイリアムズ(Serena Williams、米国)を退けて全豪制覇を果たすと、その後は全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)も制すなど、最終的には186週にわたって世界1位に君臨したセレーナを女王の座から引きずり下ろすという、忘れられない2016年シーズンを過ごした。

 ポーランドで暮らすケルバーは、コート外の仕事が増えたことで自分のために使える時間が減り、その一方で期待が重くのしかかるなど、1年前とは環境が一変したと話している。

 28歳のケルバーは「やることが多くなりました。そこは変わりましたね。でも、それを楽しもうと思っています。これもトップ選手の役割です。トップに立つことが目標でしたので、今はその中でやっていこうとしているところです」と述べた。

「新しい挑戦であることは間違いありませんが、根本的な部分は変わっていません。以前と同じことを続けていますし、トップシードという事実はあまり考えないようにしています。考えるとすごくプレッシャーになりますから」

 ケルバーは15日の初戦でレシヤ・ツレンコ(Lesia Tsurenko、ウクライナ)と対戦し、シード勢が順調に勝ち進めば、準々決勝で全仏オープン(French Open 2016)女王のガルビネ・ムグルサ(Garbine Muguruza、スペイン)と対戦する可能性が高い。

■「ターニングポイント」となった昨年の土居戦

 結果によってはセレーナに世界1位の座を奪還される可能性もあり、昨年の1回戦で土居美咲(Misaki Doi)にマッチポイントを握られたところから逆転勝利を収めたことを考えれば、どう転ぶかはまったくわからない。ケルバー本人も、絶体絶命の土居戦を乗り切れたことが、キャリアの重要な分岐点になったと考えている。

 ケルバーは、「たしかにキャリアの中でも重要なポイントだったと思います。あそこで負けていれば、その後のシーズンがどうなっていたかわかりません」と話し、最初からしっかりと自分のテニスをする大切さを教えられたと続けた。

「今回も、しっかり準備して1回戦に臨むことが大切です。自分に期待やプレッシャーをかけ過ぎないようにして、去年のようにプレーしないといけません。私はそうやって勝ってきました。それを今年も続けたいと思っています」

 シーズン開幕からの調子は良いとはいえない。ブリスベン国際(Brisbane International 2017)ではエリナ・スビトリーナ(Elina Svitolina、ウクライナ)に準々決勝で敗れ、アピア国際(2017 Apia International Sydney Tennis Tournament)ではダリア・カサキナ(Daria Kasatkina、ロシア)に敗れて2回戦敗退に終わった。

 現在は自分のリズムがつかめず、得意の強烈なフォアハンドもなかなか決まらない状況だが、それでも本人は練習コートで調整に励む中で、静かに自信を蓄えている。

「私はどの大会も、ゼロからのスタートだと思っています。感触は良いですよ。ここ何日か、良い練習ができています。それにここまではすごく厳しい状況なので、ここで流れを変えたいですね」

「自分としては、心構えは去年と一緒です。コートへ出てベストを尽くす。最後の1ポイントまで戦う。それが私のスタイルだし、私という人間。そこは変わりません」 (c)AFP/Martin PARRY