【1月23日 AFP】平らなオレンジ色のロボットが停止した車の下にするりと入り込み、無人の駐車スペースに車を運んでいく。スペースをより効率的に使うことができ、ドライバーのストレスも軽減できるとロボットの開発者は言う。

 高齢化の問題に直面している中国では今、このような洗練されていて高価なロボットに期待が寄せられている。人口が世界最大の中国でも、労働者の確保が困難になっているためだ。

 セキュリティーシステム企業の「ハイクビジョン(Hikvision)」は、中国で自動車が増加していることに着目し、上海(Shanghai)から130キロ西に位置する浙江(Zhejiang)省烏鎮(Wuzhen)でロボットを使ったパーキングシステムの試験を行っている。

 ハイクビジョンのロボット部門を率いるウ・ヨンハイ(Wu Yonghai)氏は、「ロボット産業の技術と規模はまだほんの初期段階にすぎない」と言い、「これは駐車場の問題を解決するためのものだ」と述べた。

 この分野のほとんどの企業が注力しているのは、アパートの床掃除や高齢者の話し相手などをするサービスロボットではなく、産業用ロボットだ。

 世界2位の経済大国である中国では、現在では廃止された一人っ子政策の影響で労働力人口が縮小しており、ロボットを活用することで不足する労働力を補おうとしている。

 政府統計によると、労働年齢人口(15~59歳)は2012年にここ数十年で初めて減少。以来、右肩下がりで、減少傾向は少なくとも2030年まで続くとみられている。経済成長も鈍化している。

 政府は昨年、一人っ子政策を廃止して夫婦に2人まで子どもを持つことを認めたが、労働力不足の解消につながるとしても数十年先だろう。