【1月13日 AFP】2015年から16年にかけて大流行したジカ熱の脅威については、1年以上が経過した現在、メディアで大々的に取り上げられることは少なくなった。しかし、ウイルスの影響で脳に障害のある新生児が多く誕生したブラジルでは、数千人に上る親たちが手探りでの育児に悪戦苦闘している。

 娘のマリア・フェルナンダちゃん(生後4か月)を抱いて診察室から出てきたブレンダ・ペレイラさん(23)は、肩を落とし、目には涙を浮かべていた。

 マリア・フェルナンダちゃんの小頭症の症状が、これまで考えられていたよりも深刻であることが小児科医から告げられたのだ。小頭症は、蚊を媒介して感染するジカウイルスが原因とされている。

 ペレイラさんは、「娘が話せるようになることを願っている。できる限り普通に育ってほしい」と語り、そして「娘に診察を受けさせているのは、社会に適合できるようにするため。多くの人はこの子たちを同じ人として見てくれないから」と無念な胸の内を吐露した。

 ブラジル政府は、2015年に始まったジカウイルスの感染拡大による小頭症の新生児について、これまでに2289人を確認したとしている。その一方で、当局によると、小頭症との疑いがあるケースは3144件に上るという。

 小頭症患者の大半は1歳以下であるため、医師らにとっても治療の経験は非常に限られたものになっている。そのため、マリア・フェルナンダちゃんのようなケースでも、医師らは親からの質問の全てに答えることができないのだ。

 ペレイラさんは、「医師だって分からないのに、どうして私にわかるの?」「自分でやるしかないから…娘とどうやって生きれば良いかは自分なりに学んできた」とAFPの取材にコメントした。