【1月11日 AFP】米上院は10日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領が選んだ閣僚候補らに対する指名承認公聴会を開始した。同日にはまず、司法長官として名前が挙がったジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)上院議員(70)に対する審査が行われた。

 セッションズ氏については、市民権にまつわる過去の発言を懸念する声が上がっている。同氏の司法長官就任に反対する人たちが白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」を思わせる白装束姿で大声を張り上げる一幕もあり、場内に不穏な空気が漂った。

 上院司法委員会のチャック・グラスリー(Chuck Grassley)委員長がセッションズ氏を出迎えた際、KKKメンバーのような白いローブにフード姿の男性2人が、セッションズ氏の過去について叫んだり、同氏のような超保守派が司法長官候補になっていることに謝意を表するような皮肉な発言をしたりして、退場させられる場面もあった。

 公聴会に臨んだセッションズ氏は、自らに向けられた差別主義者という批判を断固退けた。

 大勢が集まった上院司法委員会の公聴会で同氏は、連邦検事を務めていた1980年代に、アフリカ系米国人に対し差別的な含みのある発言をしたという指摘について「言語道断なまでのでっちあげだ」と反論した。

 セッションズ氏はその証拠として、地元で若い黒人男性が殺害された事件でKKKメンバーを起訴に持ち込んだ事件をはじめ、市民権が絡む複数の事例を引き合いに出した。

 同氏は、人種差別政策が掲げられていた南部で育った。反移民を公言している他、超党派で成立を目指した女性への暴力防止法案にも反対票を投じている。

 民主党のダイアン・ファインスタイン(Dianne Feinstein)上院議員は、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官の私用メール問題をめぐり、トランプ氏が選挙戦中に求めていたクリントン氏の収監を、セッションズ氏も同様に追求していくのかと質問した。これに対しセッションズ氏は、クリントン氏が関与したとされるいかなる事件に口を出すつもりはないと言明した。

 さらにセッションズ氏は、中絶の権利を認めている最高裁判決について、個人的には強い反発を覚えるものの、これを覆そうと行動するつもりはないという考えを示した。(c)AFP