【1月10日 AFP】米当局は、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正スキャンダル、いわゆる「ディーゼルゲート」をもみ消そうとしたとして同社の幹部1人を詐欺および共謀の罪で起訴した。米司法省が9日、明らかにした。

 起訴されたのは2012年から2015年3月までVWの米国での規制順守部門の責任者だったオリバー・シュミット(Oliver Schmidt)被告(48)。VWは、世界中で販売した同社のディーゼル車1100万台に排ガス規制を免れる違法なソフトを搭載していたことを認めており、連邦捜査局(FBI)は8日、この不正に関与したとしてシュミット被告を逮捕していた。

 シュミット被告は9日、米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)の裁判所に出廷。事実を知りながら米当局に不正なデータを報告していたとして、詐欺と共謀の罪に問われている。報道によるとシュミット被告は、罪状認否はせず、12日に行われる公判に備えて勾留を命じられた。

 VWは米国で当該車両の修理、交換を行うため150億ドル(約1兆7000億円)以上を負担することで米当局とすでに合意しているが、現在も同社に対する犯罪捜査は進められており、検察当局はシュミット被告以外の関係者についても起訴に持ち込みたい意向だ。

 FBIは宣誓供述書の中で、シュミット被告はVWが排ガス規制を逃れるために「ディフィートデバイス(無効化装置)」と呼ばれるソフトの使用を当局に知られないように工作した中心人物だと指摘している。(c)AFP