【1月20日 AFP】ドミニク(Dominique)さんはコカイン中毒で、たばこも1日2箱吸っていた。しかし、幻覚作用のある飲み物「アヤフアスカ」に出会ったことで人生が変わったという。

 フランス系米国人女性のドミニクさんは米ロサンゼルス(Los Angeles)在住。本名は明かしたくないという。全米ではドミニクさんをはじめとする多くの人が薬物依存やうつ病、心理的外傷を克服するために南米アマゾン(Amazon)産の強力な幻覚作用を持つアヤフアスカに頼るようになっている。

 シャーマンの儀式の一環として用意され、消費されてきたアヤフアスカは、特にハリウッド(Hollywood)やシリコンバレー(Silicon Valley)で支持者を増やしている。

 アヤフアスカの支持者には英ロック歌手スティング(Sting)さん、米シンガー・ソングライター、ポール・サイモン(Paul Simon)さん、米ピアニスト/シンガー・ソングライターのトーリ・エイモス(Tori Amos)さん、米女優リンジー・ローハン(Lindsey Lohan)さんら著名人もいる。支持者らはアヤフアスカが他とは違うスピリチュアルな経験をもたらしてくれると語る。アヤフアスカを飲むことで、他の従来の治療法では対処することができなかったトラウマを克服することができると大勢が語っている。

 ミネソタ大学(University of Minnesota)スピリチュアリティー・ヒーリングセンター(Center for Spirituality and Healing)のデニス・マッケナ(Dennis McKenna)助教によると、ニューヨーク(New York)、ロサンゼルス、サンフランシスコ(San Francisco)をはじめとする都市で夜ごとにアヤフアスカを使う約100の儀式がひそかに行われている。

 マッケナ氏は、アヤフアスカは米国で違法とされる幻覚誘起物質ジメチルトリプタミン(DMT)を含み、通称「エクスタシー(Ecstasy)」と呼ばれる合成麻薬MDMAやヘロインと同じカテゴリーに分類されているため、全米で行われている儀式の正確な数を把握することは難しいと語る。

 アヤフアスカを使った人は、最も恐ろしいものなどに対抗することのできる体外離脱体験について語る。レナード(Leonard)と名乗った人は「ピンク色とスミレ色のツバメと緑色の幾何学的図形を見た」と回想する。

 しかし、こうしたまぼろしは「恐怖」と呼ばれるもっと暗いものを伴うことが多い。ユーザーはかなりの嘔吐(おうと)も経験し、これは「浄化」と呼ばれる。

 ジェフ(Jeff)と名乗った人は「浄化の側面には大きなカタルシスがある」「人々はそれ(アヤフアスカ)をジャングルの虫下しと考えている」と語る。