【1月7日 AFP】米国家情報局長官は6日、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が昨年11月の米大統領選で民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官陣営を妨害し、共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を後押しするため、ハッキングとメディア報道工作を指示していたとする報告書を公表した。

 ロシア政府による大統領選介入作戦は当初、クリントン氏が大統領に就任した場合に米政権に打撃を与えることを目的としていたが、トランプ氏当選の可能性が出てきた後にトランプ陣営を後押しすることに目的を変えたと報告書は指摘している。

 報告書によると、プーチン大統領はタックスヘイブン(租税回避地)での金融取引を暴露したパナマ文書(Panama Papers)や五輪のドーピングスキャンダルで恥をかかされたことから米政府に恨みを抱き、米大統領選介入に至ったという。またプーチン大統領は、2011~12年に自身の政権に対する大規模な抗議活動を扇動したとしてクリントン前国務長官を非難していたという。

 また報告書は、ロシア政府が米国での選挙介入の経験を活用して、米国の同盟国を含むほかの国々で行われる選挙にも影響を及ぼそうとする可能性が高いと警告している。

 今回公開された報告書は25ページで、5日にバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領、6日にトランプ次期大統領に提示された秘密文書の半分の分量。プーチン大統領とロシアの情報機関がどのように米民主党へのハッキングを実行し、ウィキリークス(WikiLeaks)を通して情報を暴露してクリントン陣営を妨害したか関する詳細については多くを語っていない。

 ロシアはこれまで米大統領選への介入を否定してきた。米情報機関による調査結果に繰り返し疑問を投げかけてきたトランプ氏は6日、ブリーフィングを受けた後、ロシアや中国などの国々によるサイバー攻撃によって米国の政府機関や政党、企業が危機にさらされていることは理解していると述べた。(c)AFP