【1月5日 AFP】豆腐サラダから一杯のエスプレッソまで――日本や中国、欧米諸国で販売される輸入材料を使った一般消費者向け製品に、自然を破壊し野生動物を絶滅に追い込むリスクがどれだけ潜んでいるかを正確に指摘・測定できる手法を開発したと、信州大学(Shinshu University)の金本圭一朗(Keiichiro Kanemoto)教授らが4日、発表した。輸入品が世界各地の絶滅危惧種に及ぼす悪影響を詳細に記した「脅威マップ」も公開している。

 例えば、豆腐の原料である大豆や、コーヒー豆を栽培するため、インドネシアのスマトラ(Sumatra)島やブラジルのマトグロソ(Mato Grosso)州では森林が伐採されており、野生動植物が生息・生育環境を徐々に奪われ絶滅に向かっている。

 また、米アップル(Apple)のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」やスウェーデン大手イケア(IKEA)の家具など、世界展開されている工業製品にも、野生動植物種の減少につながるリスクが隠れている。

 今回、米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に発表された論文では、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅の恐れがあると指摘した陸海の動植物7000種近くについて、生物多様性を脅かす数百種類の消費者向け製品と、それらが販売される市場を追跡。種の絶滅を最も助長しているのはどの国の消費者かを明らかにした。

 論文の上席著者である金本教授はAFPに対し、この手法によって、ある国の特定の動植物種が別の国で消費される製品によってどれだけ脅威にさらされているのかを数値化し、パーセント表示できるようになったと説明。生物多様性が脅かされている「ホットスポット」の大部分は、ごく少数の国々にその原因があることが分かったとして、今回の研究結果を通じて生産者と消費者が直接協力する体制が築きやすくなるとの見方を示した。(c)AFP/Marlowe HOOD