【1月4日 AFP】(写真追加)絶滅危惧種の巨大なウミガメが、シンガポールの砂浜で死んでいるのが発見された。死骸を発見した男性と専門家らが3日に語ったところによると、ウミガメは甲羅が半分に割れており、船のスクリューに当たった可能性が高いという。

 男性は2日、シンガポール東部の浜辺をジョギング中にこのウミガメを発見した。体長は、1メートル以上はあったという。

 男性はAFPの取材に「強烈なにおいがしてにおいの元をたどると、巨大なものが目に入った。近づくとウミガメで、すでに死んでいた」と話し、「周囲を注意深く歩いてみると、(甲羅に)一筋の切り傷があった。スクリューによる傷ではないか」と付け加えた。

 男性は警察に通報したと話し、「とても心配だった。誰かに死骸をばらばらにされたくないだけだ。このあたりの人々は、実際にカメを食べるのだ」とその理由を説明した。

 シンガポール自然協会(Singapore Nature Society)の海洋保護部会を統括するスティーブン・ベン(Stephen Beng)氏によると、死骸はシンガポール島のサンゴ礁に生息するアオウミガメの雌のように見えるという。世界自然保護基金(WWF)は、アオウミガメを絶滅危惧種に分類している。

 ベン氏はAFPの取材に、「傷跡から判断して、船との衝突だったことはほぼ疑いようがない。傷は大型のスクリューによるものの可能性が高い」と語った。

 ベン氏は、海生動物が船による危険にさらされていると指摘。世界で最も船舶交通量の多い港の一つであるシンガポールを行き来する船の海上交通路が「本島の長い沿岸海浜と、南部の島々の豊かなサンゴ礁の間を分断している」からだという。

 ベン氏は船の乗組員に対して、野生生物との衝突を回避するために常に警戒を怠らないよう強く求めるとともに、理想的には、動物を目撃したら50メートルの距離を維持して減速するべきだと呼びかけた。

 シンガポールでは、2016年に砂浜でイルカの死骸が発見され、2015年にはマッコウクジラの死骸が海岸に打ち上げられた。ある専門家は当時、このクジラが船と衝突した可能性があると指摘した。(c)AFP