【12月24日 AFP】オランダで末期の脳腫瘍患者の少年(6)が、人々の爪を派手な色に塗って他の病気の子どもたちのために寄付してもらおうとしたところ、23日までに127万ユーロ(約1億5600万円)以上が集まった。

 今年5月に脳腫瘍と診断されたテイン・コルステレン(Tijn Kolsteren)君が募金を開始したのはそのわずか2日前。その試みは瞬く間にオランダの人たちの想像力をかき立てた。

 大勢の人々が爪を塗った写真をオンラインに投稿。その中には有名人、政治家、司会者、俳優もいた。反イスラムを掲げる極右・自由党(PVV)のヘルト・ウィルダース(Geert Wilders)党首は爪を深紅に塗った。

 マルク・ルッテ(Mark Rutte)首相は毎週の定例記者会見で「この少年の話を聞いたとき、とても心を動かされた──本当に大きな感銘を受けた」と述べた。

 寄付の呼びかけは、ラジオ局3FMの3人のディスクジョッキーがガラス張りの部屋に閉じこもって食事を取らずに特別なジュースだけを飲んで6日間過ごし、その間に寄付を募るという恒例のチャリティーイベントの一部として行われた。集まったお金は赤十字に寄付する。

 テイン君は5月に脳腫瘍と診断されていたが、テイン君の家族は先週になって化学療法で腫瘍を小さくすることに失敗したと知らされた。

 テイン君の父親のヘリット(Gerrit Kolsteren)さんは公共放送NOSに、「悪い知らせを受けましたが、私たちは6歳にさえなれないかもしれない子どもたちのために何かをしたいと思ったんです」と語った。

「私たちは一緒にこのアイデアを考え出しました。テインはすでに友達の一人と一緒に爪を塗っていて、それを気に入っています。私はアイスバケツチャレンジのようなことがしたかった。男が爪を塗るというのはちょっとしたタブーだから」(ヘリットさん)

 ヘリットさんが言った「アイスバケツチャレンジ」とはバケツに入った氷水を頭からかぶって募金するインターネットで大きな注目を集めたチャリティー運動「ALSアイスバケツチャレンジ(ALS Ice Bucket Challenge)」のことだ。

 NOSはテイン君をヒーローとたたえ、タブロイド紙ADは「スーパーテイン(SuperTijn)」という文字と共にスーパーヒーローの衣装を着たテイン君のコラージュ画像を掲載した。(c)AFP