【12月22日 AFP】ロシアでは、高齢女性はファッションを忘れて孫の世話をすることを期待されている。だが、現在71歳のオルガ・コンドラシェバ(Olga Kondrasheva)さんはそのステレオタイプを打ち破り、ファッション誌のモデルとして活躍中だ。

 細身でウェーブがかかった白髪の持ち主であるコンドラシェバさんは、「私はもう70歳を超えたけれど、人生は始まったばかりでとてもおもしろい」と、ロシア版「コスモポリタン(Cosmopolitan)」誌の撮影直前にスタジオで語った。

 冒険心あふれる彼女は、野生生物の研究のためにロシア各地に出向いたり、映画にエキストラとして出演したりしてきた。モデルとしてトレーニングを積んだことはないものの「こういった仕事には、ずっとひきつけられていた」という。「自分の新しい側面を発見しているところ。ヘアメイクをして素敵な衣装を身につけ、そこには美しい音楽も流れている。なんてすばらしいの」とコンドラシェバさんは感激を隠さない。

 彼女がカメラの前でポーズをとることになったのは、写真家のイゴール・ガバール(Igor Gavar)さんが立ち上げた“古株”という意のウェブサイト「オールドシュカ(Oldushka)」のおかげだ。「高齢者たちがファッション界でも活躍でき、しわや白髪があっても美しくなれるということを示したかった」とガバールさんは語る。

 ロシアでの定年は、女性は55歳、男性は60歳だ。だが経済的な理由により、多くの人が定年後も働き続ける。年金の平均額は毎月たったの200ドル(約2万3000円)だ。「オールドシュカ」は、非公式のモデル事務所として彼らに「ちょっとした臨時収入」をもたらしている。

 ガバールさんとモデルは、ウェブサイトを介して得た撮影の報酬を分配するが、今のところそれは40~300ドル(約4600~5万3000円)ほどになるという。元エンジニアで、現在64歳のリュドミラ・ブラズキン(Lyudmila Brazhkin)さんは「モデルをすることで私の人生は明るくなった。とても楽しくて前向きになれる」と語った。

「オールドシュカ」参加者の中には、その新たな楽しみを家族になかなか理解してもらえない人もいる。「最初夫は激怒し、『なんのために?』と何度も質問してきた」とコンドラシェバさん。「しかし彼は、この数々の活動によって私の人生が面白くなり、健康を保てていることを理解してくれた。今では、応援してくれている」と語った。(c)AFP/Maria PANINA