【12月21日 AFP】南極の海中で、ココナツの形をした海綿動物やタンポポのような環形動物、ピンク色の藻、クモのようなヒトデなどの生物が生息しているのが撮影され、南極の海氷の下に色彩豊かな世界が広がっていることが分かった。

 オーストラリア南極局(AAD)の科学者らはカメラが取り付けられた遠隔操作の水中探査機を使い、豪南極観測基地であるケーシー基地(Casey Station)近くの海氷に開けた小さな穴から、海水の酸性度や酸素濃度、塩分濃度、温度を調査していた。

 AADの生物学者、グレン・ジョンストーン(Glenn Johnstone)氏は「南極沿岸の海洋環境を考えれば、ペンギン、アシカ、クジラなどの象徴的な生物を通常は思いつくはず」と話した上で、「今回撮影した映像では、豊かで彩り鮮やかで活力に満ち、さらに、ウミグモ、ウニ、ナマコ、ヒトデなど、多様性に富んだ生息環境が明らかになった」と語った。

 これらの生物が生息している海の水温は一年を通してマイナス1.5度で、そのうち10か月は厚さ1.5メートルの氷で覆われている。

 ジョンストーン氏は「時には氷山が動いて生物の群集が死んでしまう可能性もあるが、多くの場合、海氷は、海上では猛威を振るう嵐から水中の生物を守り、多様な生物が生息することができる比較的安定した環境をつくりだしている」と述べている。(c)AFP