【12月21日 AFP】進化の観点から言えば、有性生殖はいずれ消失してしまうように思えるかもしれない。自然界にも存在する無性生殖と比べれば、時間と労力の大変な「無駄」だ。

 例えば羽づくろいしたクジャクは、トラや野犬の格好の餌食になるのに雌の前で気取って歩く。たとえ捕食者がいなくても、有性生殖とそれに伴う儀式は危険を伴う。一方で、ヒトデやバナナなど、無性生殖や単為結果によって子孫や実を残す動植物もある。コモドオオトカゲなどはどちらも行う。

 端的に言えば、雄が関与しない無性生殖の方が速くて楽だ。それでも、動植物が次世代に遺伝子を伝え、種の生存を確保するのに今も圧倒的に多く使われる手段が有性生殖であることには変わりはない。

 英スコットランド(Scotland)スターリング大学(University of Stirling)の生物学者、スチュアート・オールド(Stuart Auld)氏は、「進化生物学における最も古くからある問いの一つは、なぜ有性生殖が行われるのかだ」と述べる。

 確かに、有性生殖は遺伝的多様性を広げ、絶えず変化する環境でも繁栄できるような遺伝子構成を子孫に与える可能性を高める。一方、多様性のない無性生殖で生まれた子孫の場合は、環境の悪化に順応する遺伝子を欠く。

 生物学者の間では長年、病気を撃退する力の強化こそが有性生殖による遺伝子変化の最大の利点という見方が定説とされてきたが、実験で立証するのは困難だった。

 今回、オールド氏らは英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」で研究結果を発表。異なる種同士で有性生殖という戦略の代償と有益性を比較する問題を解決するためにオールド氏ら研究チームが用いたのが、有性、無性どちらの方法でも繁殖可能なミジンコだ。

「同一のミジンコから有性および無性生殖で生まれたミジンコを比べると、有性生殖によるミジンコの方が病気にかかりにくいことが分かった」とオールド氏は述べた。

 病気を回避するという絶え間ない必要性こそが、「代償」が大きいにもかかわらず自然界で有性生殖が存続する理由の説明になっているとオールド氏は指摘する。

 有性生殖の場合、新たな遺伝的多様性がそれぞれの世代と混合するため、病原体に抵抗する機会はさらに増えることになる。(c)AFP/Marlowe HOOD