【12月20日 AFP】2014年に消息を絶ったマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH370便についてインド洋(Indian Ocean)で捜索活動を行ってきた豪当局や専門家らは、20日に発表した最新の報告書で、墜落現場が現在の捜索海域に含まれる可能性は極めて低く、さらに北方の可能性があることを明らかにした。

 これまで計12万平方キロの海域で行われてきた大規模な捜索活動では墜落の痕跡は発見できていないが、インド洋西方の海岸沿いではMH370便のものとみてほぼ間違いない20個以上の残骸が発見されている。同機は14年3月8日、乗客乗員239人を乗せてマレーシアのクアラルンプール(Kuala Lumpur)から中国の北京(Beijing)へ向かう途中、消息を絶った。

 オーストラリア政府や米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)、英衛星通信事業者インマルサット(Inmarsat)などの専門家らは、見つかった証拠やそれぞれの予測モデルを再検討するため先月、豪首都キャンベラ(Canberra)で協議した。その結果、捜索活動を主導した豪運輸安全局(ATSB)は報告書で、MH370便の墜落現場は、現在の捜索海域には含まれていないと結論付けた。

 当初の捜索範囲は、同機が飛行経路から外れた後に通ったとみられる軌道の衛星解析や、航空機力学、気象データを基にしていた。報告書は、新しい解析と残骸の漂流状況から予測した結果、MH370便が現在の捜索海域よりも北方に墜落したことを示す強力な証拠が導き出されたと述べている。

 オーストラリアからは先週、現在の海域での最後の捜索船がインド洋南方へ向け出港している。来年1月の帰港までに深海や、音波探知機の性能の限界で正確に捜索できなかった200地点を周る予定。(c)AFP/Martin PARRY