【12月20日 AFP】人は1万年以上前、農耕の到来よりもかなり以前から、野生植物を調理するために焼き物の容器を用いていたとの研究結果が19日、発表された。今回の発見は、人が植物を食用として処理していたことを示す最古の直接的な証拠となる。

 北アフリカのリビアで発見されたこれらの容器には、ガマやサンザシなどの野草、イチジクさらにはシナモン、ナツメグ、スターアニスといった植物の葉や果実の痕跡が含まれていた。その他にも、今日でもなお食べられている水生植物の痕跡も残っていた。

 調理の習得は、人類の進化に不可欠だった。調理により、人間は食事の幅を広げ、新たなエネルギー源を獲得できた。発見された植物の多くは、生で食べると有毒なものや、消化に悪いと考えられるものだったという。

 人類の祖先がたき火で肉を焼くことを始めた正確な時期は不明だが、火に強い容器の最古のものは約1万5000年前にさかのぼる。

 その後間もなく、それらの容器が肉や乳などの動物性の食物を煮沸するために使われるようになったことについては、十分な証拠が得られている。

 だがその一方で、野生植物が同じ方法で調理されたことを示す、調理器具での化学物質の痕跡は、これまで見つかっていなかった。

 論文の主執筆者で、英ブリストル大学(University of Bristol)の研究者のジュリー・ダン(Julie Dunne)氏は「先史時代の食事における植物の重要性はこれまで、過小に認識されていた」と指摘する。

 ダン氏は、AFPの取材に「今回の研究では、北アフリカでのこれら容器の発明と同時期に行われるようになったと思われる植物の調理の直接的証拠が初めて発見された」と語った。

 研究論文は、英科学誌「ネイチャー・プランツ(Nature Plants)」に発表された。

 研究では、リビアのサハラ(Sahara)砂漠地帯にある、タカールコリ(Takarkori)とUan Afudaと呼ばれる2か所の遺跡で発見された器のかけら110個を分析した。遺跡のある一帯は当時、緑が生い茂るオアシスのような場所だったと考えられている。

 タカールコリ洞窟住居は、紀元前8200年から紀元前6400年頃まで栄えた狩猟採集民が、植物の栽培化と農耕に移行した記録が残されている遺跡の一つだ。

「これらの容器は、食材をさまざまな方法で処理することを可能にする重要な技術的発明だ」と、ダン氏は述べた。(c)AFP/Marlowe HOOD