【12月21日 AFP】2016年にこの世を去ったスポーツ界の著名人をAFPがまとめた。

■モハメド・アリ氏(ボクシング)

「アリは世界を揺るがし、より良い場所にした」。モハメド・アリ(Muhammad Ali)氏の訃報に際し、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はそう述べた。20世紀のスポーツ界最大の英雄の一人であるアリ氏は、6月3日、パーキンソン病との闘いの末、74歳でこの世を去った。

 アリ氏の知名度はスポーツ界にとどまらず、3回のヘビー級王座に輝いたリング上での偉業と同様、リング外での闘いぶりも称賛を集めた。イスラム教へ改宗してカシアス・クレイ(Cassius Clay)の本名を捨てると、後にはベトナム戦争への徴兵を拒否して起訴された。その後も公民権活動に熱心に参加し、各所から誹謗(ひぼう)中傷を浴びたこともあった。

 プロとしては1960年から1981年まで活動し、56勝5敗の戦績を残した。その中でも歴史に残る名勝負と言われるジョージ・フォアマン(George Foreman)氏との「キンシャサの奇跡(Rumble in the Jungle)」については、フォアマン本人が「アリはすべての人の心に、偉大さのなんたるかを知らしめた」と語っている。

 4回の結婚で7人の娘、2人の息子をもうけた。故郷の米ルイビル(Louisville)で行われた葬儀には数多くの人が参列し、ビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領は、「われわれ共通の人間性のために闘った普遍の戦士」とたたえた。

■アーノルド・パーマー氏(ゴルフ)

 カリスマ的なゴルフ界の神であり、親しみやすい性格を持ったアーノルド・パーマー(Arnold Palmer)氏は、9月26日に87歳でこの世を去った。米ペンシルベニア(Pennsylvania)州ラトローブ(Latrobe)生まれの通称「キング」は、60年以上におよぶ波乱万丈のキャリアで、メジャー7勝、ツアー95勝の成績を残し、ゴルフというスポーツのあり方を変えた。

 リスクをいとわない積極的なプレースタイルや一風変わったスイングでファンを熱狂させたパーマー氏は、ゴルフ界初のテレビスターとなり、ゴルフを広く一般に浸透させる立役者となった。オーストラリアのジェイソン・デイ(Jason Day)は、「はっきり言うと、根暗なスポーツだったゴルフをアーノルド・パーマーがセクシーに変えたんだ」と話している。

 地元クラブのプロだった父の下に生まれたパーマー氏は、11歳でキャディーを始め、1954年にプロへ転向すると、史上初めてシーズン獲得賞金が10万ドルを超えた選手となった。賞金10万ドルが、今季で言えば246位の選手の獲得賞金で、1位のダスティン・ジョンソン(Dustin Johnson)が940万ドルを稼いでいる事実は、彼がゴルフを変えたことの一つの証明と言えるだろう。

 米国と欧州の対抗戦ライダーカップ(Ryder Cup)にも6回出場し、主将として2回勝利を収めた。