【12月17日 AFP】中国共産党の機関紙・人民日報(People's Daily)は16日、今年だけで10億ドル(約1179億円)もの資金を費やし、今後もビッグネームとの高額契約に乗り出すと報じられている同国サッカー界に対し、「バブル」が吹き荒れていると警告。中国をサッカー強豪国にするという習近平(Xi Jinping)国家主席の方針の下、有力選手を「爆買い」する各クラブに自制を求めた。

 中国スーパーリーグ(1部)の各クラブは今週、潤沢な資金を利用して、イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)に所属するオスカル(Oscar dos Santos Emboaba Junior)や、元アルゼンチン代表のカルロス・テベス(Carlos Tevez)を獲得すると伝えられた。

 人民日報は、2016年に費やされたとされる80億元(約1355億円)もの資金は「リーグにもたらされた経済的価値をはるかに超えている」と警告するとともに、観戦チケットやライセンス製品の売り上げが伸び悩んでいることを受け、爆発的に上昇しているサッカー界への投資は「バブル」にすぎないと指摘。スーパーリーグの「資本を制限する理由はない」としながらも、リーグの長期的な存続のために資金を費やすべきだと訴えた。

 中国企業は今年、海外のサッカークラブや選手、さらには放映権を獲得するために、惜しみなく資金を費やして事業拡大を図ると同時に、中国をサッカー界の強豪国にするという習主席の夢の実現を目指している。

 サッカーファンとして知られる習主席は、副主席時代の2011年に中国サッカー界への期待として、再びW杯(World Cup)に出場すること、W杯を開催すること、そしてW杯で優勝すること、という3つの未来を提言した。

 同リーグでは、今年1月と2月の移籍市場で国内における移籍金の最高額が4回更新されており、この1年間で選手獲得に4億ドル(約472億円)以上の資金が投じられている。

 報道によれば、上海上港(Shanghai SIPG)が、中国史上最高額の移籍金6000万ポンド(約74億円)でオスカルと契約間近であるとされ、今月15日にはアルゼンチンのボカ・ジュニアーズ(Boca Juniors)に所属する33歳のテベスが、上海申花(Shanghai Shenhua)と2年契約を結び、現年俸の20倍にあたる4000万ユーロ(約49億円)を手にすると伝えられている。(c)AFP