【12月17日 AFP】16クラブW杯(2016 FIFA Club World Cup)決勝で鹿島アントラーズ(Kashima Antlers)は、欧州王者レアル・マドリード(Real Madrid)の前線の脅威に対抗するため、歯を研いだワニという秘密兵器を解き放とうとしている。

 世界的な舞台では取るに足らない部類に入るものの、アントラーズには植田直通(Naomichi Ueda)という姿の死に物狂いでかみついてくる貪欲な捕食者がいる。

 18日の横浜での決戦を控え植田は、「僕はワニです。ワニは水中に獲物を引き込んで仕留める。空中戦でも一対一でも相手を仕留めたい」と警告を発している。

 レアルは現在クラブ記録の公式戦36戦無敗を誇っており、アントラーズは圧倒的に分が悪い。それでも、今季のJリーグ1部(J1)を3位で終え、プレーオフを勝ち上がり約2週間前に王座を奪取したアントラーズは、準決勝で南米王者アトレティコ・ナシオナル(Atletico Nacional、コロンビア)を3-0で退け、日本勢としては初めてクラブW杯の決勝に駒を進めた。

 ナシオナル戦でチーム3点目を決め、レアルのクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)ばりのパフォーマンスで喜んだ鈴木優磨(Yuma Suzuki)は、「決勝で点が取れなければ、あっという間に忘れ去られてしまう」と言う。

 途中出場からのファーストタッチで得点した20歳の鈴木はスペインのテレビ局でもうわさの種になっている。

「夢のよう。ロナウド本人の前でも(パフォーマンスを)やりたいです」

 全世界のスーパスターが集結したレアルが完勝を収めることが予期される中、鈴木は早くもロナウドのユニホームという残念賞を手に入れようと心に決めている。

「最初に近づいてユニホームを交換できればうれしい。試合中は敵ですけど、試合後はファンですから」

 一方、欧州王者で現在スペイン1部リーグの首位に立つレアルのジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)監督は、2年ぶりの大会制覇を目指し、アントラーズを過小評価することはないと語った。

 クラブ・アメリカ(Club America、メキシコ)との準決勝を2-0で勝利した後、ジダン監督は「基本的には彼らのホームゲーム。あちらの状況が有利だ。日曜日(18日)に向けてしっかりと回復することが大事。これから試合前までにアントラーズを研究し、準備を整える」と語っている。(c)AFP