【12月16日 AFP】シリア内戦で激戦地となっていた北部アレッポ(Aleppo)では15日、政府軍との合意に基づき、東部の反体制派地域から民間人と戦闘員ら数千人が退避した。しかし、国連(UN)特使と仏外務省によると、いまだ約5万人が東部に取り残され、その多くは民間人だという。

 国連のスタファン・デミストゥラ(Staffan de Mistura)シリア問題担当特使は15日、フランス・パリ(Paris)でジャンマルク・エロー(Jean-Marc Ayrault)仏外相と共に記者会見し「不幸なことに、まだ5万人が(アレッポ東部に)とどまっており、このうち4万人は民間人だ。残りは戦闘員1500~5000人とその家族だ」と述べた。

 デミストゥラ特使はそのうえで、退避する人々に国連職員が付き添い、戦闘員が退去合意に基づいた配慮ある待遇を受けられるようにすることが、国連として最優先課題だと語った。

 一方、ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は、ボスニア紛争中に起きたスレブレニツァ(Srebrenica)の虐殺が繰り返されるのを避けるため、対策が必要だとの見解を示した。

 シリア政府を支援するロシアと反体制派を支援するトルコが仲介した今回の合意では、アレッポ東部から退避した人々は北西部の反体制派地域イドリブ(Idlib)へ移送されることになっている。

 これまでに民間人や反体制派の戦闘員とその家族を乗せたバスや救急車の車列が、3回に分けてアレッポを離れた。赤十字国際委員会(ICRC)シリア代表部のマリアンヌ・ガゼール(Marianne Gasser)首席代表は、第2陣が出発した段階で「子どもを含む約3000人の民間人と、負傷者40人以上が出発した」と説明。ただし「東部に残っている人数は不明だ」として、退避完了には数日かかるとの見通しを示した。(c)AFP