【12月15日 AFP】アスパラガスを食べた後の鼻を突く尿のにおいをめぐっては、それを感じる人とそうでない人とに大きく分かれるが、その理由は詰まるところ、遺伝子にあるとする研究結果が14日、発表された。

 フランスの作家マルセル・プルースト(Marcel Proust)はかつて、このにおいを、粗末なし瓶を香水瓶に変えるものと表現したが、どうやらプルーストは少数派に属していたようだ。今回発表された研究によると、5人に3人はこのにおいを嗅ぎ取ることができないのだという。

 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)のクリスマス号で発表された研究結果によると、被験者6909人のうち男性の58%と女性の61.5%にアスパラガスのにおいを感知できない嗅覚の障害がみられたという。同誌の毎年恒例のクリスマス号では、奇抜だが科学的に信頼できる研究の特集が組まれる。

 米ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard University T.H. Chan School of Public Health)などの研究チームは、この多数派の人々の嗅覚に関連する遺伝子で「一塩基多型(SNP)」の遺伝子変異を871個発見した。これは、この嗅覚障害が遺伝することを示唆している。

 アスパラガスを食べた数時間後の、鼻を突く尿のにおいを感じるのが一部の人に限られる理由をめぐり、専門家らは長年、議論を闘わせてきた。

 この違いが生じる理由は、「アスパラガス尿」を生成しない人がいるからなのか、それとも、単にそのにおいを感じることができない人がいるからなのか──。

 今回の最新研究は、この疑問に答える手がかりを提供している。