【12月15日 AFP】16クラブW杯(2016 FIFA Club World Cup)は14日、準決勝が行われ、ビデオ判定でPKを得る幸運も味方につけたJリーグ1部(J1)王者の鹿島アントラーズ(Kashima Antlers)が、南米王者アトレティコ・ナシオナル(Atletico Nacional、コロンビア)を3-0で退け、決勝へ進出した。

 国際サッカー連盟(FIFA)主催大会では初となるビデオ判定で得たPKを土居聖真(Shoma Doi)が決めて先制した鹿島は、終盤に遠藤康(Yasushi Endo)が巧みなヒールキックで追加点を記録。最後は途中出場の鈴木優磨(Yuma Suzuki)がゴールを決め、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)ばりのパフォーマンスで喜んだ。

 日本のクラブとして初めて決勝に勝ち進んだ鹿島は、レアル・マドリード(Real Madrid、スペイン)対クラブ・アメリカ(Club America、メキシコ)の勝者と18日に対戦する。両チームは15日に横浜で対戦し、順当に行けばレアルが勝ち上がる可能性が高い。

 PKの場面では、西大伍(Daigo Nishi)がファウルを受けていたとして鹿島ベンチが抗議すると、ビクトル・カサイ(Viktor Kassai)主審は新技術を参考にPKを指示したが、ナシオナルの選手はこの判定に憤っていた。

 ビデオ判定の技術がFIFAの主催大会では初めて試験導入された今回のクラブW杯では、専任の審判が映像をチェックして、「試合結果を左右する判断」に関する情報を主審へ伝達する。

 鹿島の石井正忠(Masatada Ishii)監督は、「相手にかなり攻め込まれたが、何とか守り切ることができた。全員で踏ん張って、決勝に進めた。日本を代表するつもりで戦う」と語った。

 一方、ナシオナルは飛行機墜落事故で多くの犠牲者を出した同じ南米のクラブチーム、シャペコエンセ(Chapecoense)の思いも背負って大会に臨み、会場では大阪まで駆けつけたナシオナルのファンがシャペコエンセのレプリカユニホームやフラッグを掲げる姿も見られた。

 ブラジルのクラブであるシャペコエンセは、ナシオナルとのコパ・スダメリカーナ(2016 Copa Sudamericana)決勝へ向かう途中、乗っていた飛行機が墜落した。事故では71人が死亡し、シャペコエンセの関係者で一命をとりとめたのは選手わずか3人だった。

 ナシオナルのレイナルド・ルエダ(Reinaldo Rueda)監督は、「最初の失点でまとまりを失ってしまった。もしかしたら過信があったのかもしれない。高い授業料だったが、ここから学んで成長しなくてはならない」とコメントした。

 同日に行われた5位決定戦では、アジア王者の全北現代モータース(Jeonbuk Hyundai Motors、韓国)が4-1でマメロディ・サンダウンズ(Mamelodi Sundowns、南アフリカ)に大勝した。(c)AFP