■生活の数値化

 長期の評価調査は、ニュージーランド人1000人をその幼少期から中年期初期までを追跡したデータに基づいている。

「ダニーディン調査(Dunedin Study)」と名付けられた調査の全対象者は、1972年4月から1973年3月の間に同名の都市で生まれた人々で、ニュージーランドの地域社会の社会経済層全体を代表している。

 問題があるとされた対象者の20%は、当該地域における、父親のいない育児、何らかの薬剤の処方の4分の3と関連付けられた。また同半数以上に、入院治療と喫煙がみられ、さらに同40%は過体重、同36%が人身傷害の保険金請求を行っていた。

 また38歳の時点では、当該地域内・同年齢層の刑事事件での有罪判決の5分の4、また3分の2が生活保護に依存していたことが分かっている。

 2回目以降の追跡調査と評価は、15歳までは2年間隔、その後は3年または4年間隔で実施した。

 追跡調査の結果は、政府と保健当局の記録と突き合わせて調べた。

 今回の研究に参加したデューク大のテリー・モフィット(Terrie Moffitt)教授は「調査対象者がどこに住んでいたかや、どんな名前を使っていたかなども、われわれはすべて把握している」と話す。そして「人々の生活を数値化することで、個人の社会的コストを正確に定量化することが可能になる」と説明した。

 今回の研究を発表するに際し、論文の筆者らは、研究の市民監視的な意味合いが、あざけりや非難を浴びせるために社会の「高コスト」層をあぶり出す目的で使われることがあってはならないと注意を促した。

 人生の早い段階ですでに苦境に陥っている子どもを特定できるようにすることは、事態に介入して「全員の利益のために、子どもたちの軌道修正をする」ための機会とみなすべきだと、モフィット教授は指摘している。(c)AFP/Marlowe HOOD