【12月13日 AFP】元陸上女子棒高跳び女王のエレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva、ロシア)氏は12日、世界反ドーピング機関(WADA)が公表したカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書について、露スポーツ界の腐敗を明らかにする一方で、これは同国への政治的圧力であり、他国が同様の監視を逃れていると訴えた。

 ロシアで「組織的な陰謀」によるドーピングが行われていたことを暴いたマクラーレン報告書が公表されたことを受け、五輪で2度の金メダルに輝くイシンバエワ氏は仏スポーツ日刊紙レキップ(L'Equipe)のインタビューで、露スポーツ界の清浄化を促すことは歓迎すると語ったものの、「1か国に限定した調査は政治的行為です」とコメントした。

 国家ぐるみのドーピングが発覚し、100人以上のロシア代表選手とともにリオデジャネイロ五輪から排除されたイシンバエワ氏はさらに、「陰謀があったとは思っていません。それに、マクラーレン氏の調査は世界中の国に拡大して行ってほしいです。ロシアのドーピングは、他の国と何ら変わりありません」と強調した。

 先週、ロシアの反ドーピング機関(RUSADA)の責任者に任命されたイシンバエワ氏は、9日に公表されたWADAの最終報告書には、違反者の名前や薬物名、それ以外の詳細を含めて結論を裏づける証拠に欠けているという見解を示し、「報告書では証拠について述べられていますが、それらしいものは見当たりません」と語った。

 世界陸上(IAAF World Championships in Athletics)で通算3個の金メダルを手にしているイシンバエワ氏が、最も失望しているのは、違反者の特定や不正行為への制裁ではなく、選手全員が責任を取らされたことだという。

「不正行為には反対ですが、一般化されるのは気に入りません。私は一度も加担していないのに、なぜ(全員が影響を受けた)組織的なドーピングがあったと認めることができるでしょう?」

 今年7月に発表された1回目のマクラーレン報告書で国家ぐるみのドーピングが発覚したことを受け、国際陸上競技連盟(IAAF)が連帯責任として露陸上競技連盟(ARAF)に資格停止処分を科し、同国陸上選手がリオ五輪から除外されたことについて、イシンバエワ氏は現在も怒りを覚えている。

「不正行為が罰せられるのは当然です。不正を行った者には代償を支払わせなければ。しかし、私が怒っているのは、連帯責任では何も解決しないということです」 (c)AFP