【12月12日 AFP】内戦が続くシリアで11日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が古代遺跡で知られる中部の都市パルミラ(Palmyra)を再び制圧した。一方、激戦地の北部アレッポ(Aleppo)では政府軍がさらに攻勢をかけ、複数の地区を新たに掌握した。

 パルミラ付近ではここ数日、政府軍とISが交戦していたが、政府軍の撤退後にISが電光石火の勢いで市内に進攻。IS系通信社アマック(Amaq)は、ISが市内を見下ろす古代の要塞を奪還し、市全域を再び「完全に掌握した」と報じた。在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」も、政府軍が市の南側から撤退した後、ISがパルミラ全域を再び支配下に置いたと明らかにした。

 国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されている遺跡があるパルミラは昨年5月にISが制圧していたが、今年3月に政府軍とロシア軍が奪還。ISとの戦いで象徴的な大勝利とされていた。ISは以前支配していた時期に遺跡の一部を破壊しており、再び制圧したことで新たな破壊に乗り出す恐れがある。

 一方アレッポでは、監視団によると反体制派が依然支配する南東部の地区に政府軍が迫撃砲や空爆による攻撃を行い、マーディ(Maadi)地区など複数の地区を掌握した。

 監視団は、今回の爆撃を受けて11日深夜から反体制派支配地区の住民1万人以上が政府側の支配する市西部などに脱出したと報告している。(c)AFP/Rim Haddad with Rouba El Husseini in Beirut