【12月12日 AFP】ラトビアのスケルトン代表選手団は11日、国家ぐるみのドーピング疑惑が持たれているロシアが五輪精神を「盗んだ」と批判し、来年2月に露ソチ(Sochi)で行われるIBSF世界選手権(IBSF World Championships 2017)をボイコットすると表明した。

 ラトビア側は、来年2月13日から26日まで行われる世界選手権の開催地について2014年にソチ冬季五輪が行われた黒海沿岸のリゾート地ソチからの変更を求め、公式ツイッター(Twitter)で「2014年に五輪精神が盗まれた場所であるロシア・ソチの世界選手権に参加しない」と述べた。

 世界反ドーピング機関(WADA)が9日に公表したカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏によるロシアの組織的なドーピングを暴いた最終報告書では、ソチ五輪や2012年のロンドン五輪などの国際大会において同国の選手1000人以上が「組織的な陰謀」に関与し、スポーツ界をハイジャックしていたと結論づけた。

 これを受けてラトビアのスケルトン代表は、「WADAと国際オリンピック委員会(IOC)による最初の報告書で、このスポーツに汚れた選手がいると公表されてから、十分な時間が経過した」とすると、「スケルトン界のメンバーとして、われわれは事態を正すためにもっとやれることがあると感じている。もうたくさんだ。われわれは、どこであろうとも世界選手権では喜んで戦うが、ソチ大会には参加しない」と述べた。

 昨季の世界選手権のメダル順位で2位のラトビアは、ソチ五輪で銀メダルを手にしたマルティンシュ・ドゥクルス(Martins Dukurs)が世界選手権連覇を目指していた。W杯で総合7連覇を果たしている同選手の兄トマス・ドゥクルス(Tomas Dukurs)も、2015年の世界選手権で銅メダルを手にしている。

 一方、2016年大会では4人乗りで金メダルを獲得した実績があるボブスレー代表チームは、ソチ大会出場の可否を決めていない。

 スケルトン代表チームの決断は、瞬く間にラトビア国内で物議を醸しだした。

 アイスホッケーのコンチネンタル・ホッケー・リーグ(KHL)に参戦するディナモ・リガ(Dinamo Riga)の親ロシア派の会長は、ラトビアチームの決断をあざ笑い、露ニュースサイトの「Life.ru」で、「スケルトンチームの勇気を尊重する。しかし、このスポーツを見ているのは、せいぜい15人とか17人だ。ホッケーは100万人が見ることもあるがね」とコメントした。

「スケルトンは頭から突っ込んでいくスポーツだったかな?あまり格好が良くないから、大会に出場しても魅力を感じられなかったようだ」 (c)AFP