【12月9日 AFP】(更新)ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州でイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が軍の弾圧を受けているとされる問題で、国連(UN)は8日、ミャンマーの事実上の指導者であるアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問兼外相に対し、現地を自ら視察するよう強く求めた。

 ラカイン州では10月に検問所が襲撃され警官が死亡した事件を受けて軍が作戦を展開しており、2万人を超えるロヒンギャの人々が隣国バングラデシュへ脱出する事態となっている。逃げ出した人々は集団レイプや殺人、放火などが行われていると口々に訴えている。

 こうした中、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者のスー・チー氏が軍に作戦中止を命じないことに対し、国際社会から非難が高まっている。

 スー・チー氏は先に、事態は「統制下にある」と述べ、「憤りの炎」をかき立てないよう国際社会に求めていた。

 しかし、ビジェイ・ナンビアール(Vijay Nambiar)国連事務総長特別顧問(ミャンマー担当)は国連本部のある米ニューヨーク(New York)で発表した声明で、ロヒンギャ問題に直接介入するようスー・チー氏に要請。親しみを込めた「ドー・スー(Daw Suu、スーおばさん)」の呼称で同氏を呼び、「マウンドー(Maungdaw)とブティダウン(Buthidaung)を視察し、現地の市民たちを保護すると約束するよう強く求める」と述べた。

 マウンドーとブティダウンは、いずれもミャンマー軍によって封鎖されているラカイン州の地名。(c)AFP