【12月9日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は8日、9日に公表が予定されるカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏によるロシアの組織的なドーピングを暴いた最終報告書は、同委員会に「喫緊の課題」をもたらすだろうと語った。

 バッハ会長がこの日、報告書の内容は「予想できない」と口にした一方で、IOCは7日、別途通知があるまでは、ロシアへの制裁を延長するとして、調査結果の発表に備えて先手を打っていた。

 3日間にわたって行われた理事会を終えたバッハ会長は、「IOCにとって課題は明白だ。われわれは明日、マクラーレン氏による最終報告書をもって、喫緊の課題に直面するだろう」と話した。

「報告書を受けたら、すぐに対応にあたる。報告書は委員2人の手にわたり、その後マクラーレン氏と連絡を取った上で、早急に作業に取り掛かる」

 2014年のソチ冬季五輪やソチ冬季パラリンピックなどで、ロシアが国家ぐるみのドーピング検査を行ったとするマクラーレン氏の報告書を世界反ドーピング機関(WADA)が発表したことを受け、IOCは7月、同国に対して初めて制裁を科した。

 問題の発覚により、100人以上のロシア代表選手がリオデジャネイロ五輪から除外され、リオデジャネイロ・パラリンピックでは全面的に出場を禁止された。マクラーレン氏による最終報告書は、同国で広がるさらなるドーピングを暴露するものだとみられている。

 また、バッハ会長は、2008年の北京五輪と2012年のロンドン五輪で採取された検体の再検査は、ロシアを代表とする数か国と、重量挙げなどの競技に関して懸念を生じさせたといい、五輪における同競技の存続が危機にあるかと問われると、「ある特定の数か国だけの問題なのか見極めなくてはならない」などとコメントして明言を避けた。(c)AFP