【12月8日 AFP】アジア系のニュージーランド人男性が自国で旅券(パスポート)の更新を申請したところ、提出した写真の目が実際は開いているのに閉じていると顔認識ソフトに判定されてしまい、不受理となっていたことが分かった。男性の友人から「政府は人種差別主義のロボットを使っているのでは」と皮肉る声が上がる中、当局はコンピューターのエラーによるもので差別ではないと釈明に追われた。

 パスポートの更新を申請したリチャード・リーさん(22)は台湾に生まれ、ニュージーランドで育った。現在はオーストラリアのメルボルン(Melbourne)に留学中で、クリスマスに帰国する前にパスポートを更新しようとした。

 ところが、ニュージーランド内務省が使用している顔認識ソフトはリーさんの顔写真について「目が閉じている」と判定。条件を満たしていないとして申請が却下される羽目になった。

 リーさん本人は今回の一件をたいして気にかけなかったというが、友人たちはフェイスブック(Facebook)で「政府は人種差別主義のロボットでも使っているんじゃないか」などと冷やかした。

 内務省のスティーブ・コルベット(Steve Corbett)報道官はAFPに対し、同省のシステムは「いかなる個人の集団に対しても」差別はしていないと述べ、リーさんのケースでは照明に問題があったと説明した。

「最も頻繁に起きるエラーが照明のせいで顔に影がかかってしまうことで、顔認識ソフトは目が閉じていると判定してしまう」(コルベット氏)。同氏によると、インターネットで提出された写真の20%はさまざまな理由で却下されているという。

 リーさんは記者団の取材に「おかしなことがあるものだと自分でも思ったよ。明らかに認識ソフトのプログラミングエラーだね」と語っている。(c)AFP