【11月30日 MODE PRESS】ミラノ発の「アリータ(ALIITA)」は「マルニ(MARNI)」の創業者、コンスエロ・カスティリオーニ(Consuelo Castiglioni)の義娘であるシンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニ(Cynthia Vilchez Castiglioni)によるジュエリーブランド。日常の身近なモチーフを描いたデザインは潔いほどにシンプル。ゴールドの繊細なラインにダイヤモンド、サファイヤ、エメラルドといった宝石を合わせ、ミニマルでエフォートレスなコレクションを展開している。

 27歳のデザイナーであるシンシアは若々しくてキュート、それでいて聡明で自然体な女性だ。今回は新作コレクションを携えて来日し、自身のクリエーションについてにこやかに説明してくれた。

ハウスモチーフのジュエリーはブランドのシグネチャーとも言える。(c)ALIITA

■お守りとしても人気のジュエリー

「アリータ」はフェミニンでミニマリスト、ガーリーで遊び心を持ち合わせている女性のためのブランドだ。ブランド名は、ベネズエラの土着民族の言語で「大切なもの」を意味している。「私自身を色濃く反映させたブランドでもあるので私の出身地、ベネズエラからの影響は大きい。故郷の自然や伝統、文化などからインスピレーションを受けている」とシンシアは語る。熱帯圏に位置し、北はカリブ海や大西洋に面するベネズエラは一年中暖かく、気温も40度を超えることがあるという。「私が愛するビーチをモチーフにしたものも多い。ベネズエラの人間にとってビーチはけっして夏だけのものではないの」と笑う。

 日本のマーケットにおけるポジティブな反応にも喜んでいるという。「とくに家のモチーフを気に入ってくれて、日本の女性たちがお守りとして身につけてくれているのは素敵ね。家は私にとって意味深く、大事なもの。みんなもそう感じてくれているならとてもハッピーよ」

「家モチーフはシンプルだが、とても意味が深い」と語る(2016年11月24日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko Akiyoshi

■愛する夫とともに

 シンシアが「アリータ」を設立したのは2015年。大学でファッションマーケティングを学んだ後、「ミュウミュウ(Miu Miu)」「ジル・サンダー(Jil Sander)」などで経験を積み、結婚と出産を経て独立した。「ジュエリーは子どもの頃からずっと愛と情熱を傾ける対象だった」という彼女は18歳のとき、ファッションビジネスに関わる夫と出会う。「彼は当時『マルニ』で働いていたけれど、今は『アリータ』が成長しているから一緒にブランドを支えてくれているの」。今回はそんな愛する夫を伴っての来日だ。

「私が個人的に大切にしているジュエリーはやっぱり結婚指輪。いつも欠かさずつけていているの。4年前、入籍した日に彼と選びに行ったのだけど、シンプルでミニマルなデザインを見つけて『オーケー、これにしましょう』と2人同時に言ったわ」とはにかむ。その強力な二人三脚は「アリータ」のハートウォーミングな世界観を体現していると言えるだろう。

コードブレスレットはブランドの人気アイテム(2016年11月24日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko Akiyoshi

■かけがえのない息子の存在

 2歳の息子を持つシンシアは、世界を股に掛けるワーキングマザーだ。「子供には自分のベストな時間を与えたい。家族と過ごす時間と仕事のバランスをうまくとるのは簡単ではないわ。オーガナイズすることが大切だからスケジュールはきちんと決めている。今は祖父母からのサポートもあり、彼らの存在はとても大きい」と語る。

 まだ幼い息子はシンシアの仕事に興味津々。「私の仕事を覗きこんできたりするので『触っちゃだめよ!』と言うこともあるわ。彼はもう私の仕事を理解しているし、私を助けようとパーツを手渡してきたりすることもあるのよ。きっと『アリータ』の一部を担っていると思っているのね」と笑う彼女はすっかり母親の顔だ。シュノーケルや小さなバケツをモチーフにしたジュエリーは、息子といっしょに初めてアルバへ旅したときの思い出がインスピレーションになっている。「パイナップルも息子の大好物なの」

遊び心あふれるポップなモチーフは母子でシェアして身につけても素敵だ。(c)ALIITA

■「マルニ」創業者である義母との関係

 義母である「マルニ」の創業者、コンスエロ・カスティリオーニとはミラノでときどき出会う関係だ。「彼女から学んだことは常に一生懸命働くことかしら。結果がすぐに出るか、あとから出るかは分からないけれど、一生懸命にやっていたら必ずそれは報われるということ」と語る。「彼女は本当に努力家。彼女自身のスピリットからインスパイアされることは多い。多くの挑戦をしつつも、とても穏やかでエレガントな人なの」と、義母としてもデザイナーとしても、心からリスペクトしている様子がうかがえる。

「アリータ」のデビューコレクションは「ピュアネス(純粋さ)」をテーマに、日常的に身につけられる作品だった。セカンドコレクションとなった今回は、それをより発展させ、エレガントなイブニングルックの提案となっている。「アリータ・ウーマンがディナーや特別なイベントに出かける際などに身につけられるものよ。アール・デコの要素もあるし、私も主人も50年代のヴィンテージ家具や建築が大好きだから、それをミニマルなジュエリーの形に昇華させてみた」。パーツをひっくり返すと違う色が現れる仕掛けがリングに施されるなど、ちょっとした遊び心も魅力的だ。「私はすべてがシリアスなのは好きじゃないの。一風変わった側面を楽しむのも、人生で大切なことでしょう?」

夜のおでかけにぴったりのセカンドコレクションは独特の色使いも魅力。(c)ALIITA

■クリスマスプレゼントにも最適

 今年の冬は家族と仲良くアルバで過ごす予定だという。「でもアルバのクリスマスは夏だから、サンタクロースもビーチにいるんだけどね」。そんなシンシアがクリスマスギフトにおすすめするのはスノーマンをモチーフにしたアイテムだ。「冬に限らず、ワードローブに加えていつでも身につけてもらいたい。ビーチに行くときにつけたら、きっとそのコントラストが素敵よね」と笑う。赤いマフラーを巻いたスノーマンのネックレスとコードブレスレットは限定販売。売り上げのすべてが癌を患う子どもたちのために活動するベネズエラの慈善団体へと寄付される。オンラインストアで12月1日より31日まで1か月限定で発売予定だ。

 そのほかにもクリスマスオーナメントやスケート靴などをかたどったホリデーカプセルコレクションも人気。大切な人との絆を確かめるギフトとして、あるいは自身のお守りに「アリータ」を身につけてみてはいかがだろうか。故郷や家族を大切にするシンシアの幸せあふれるライフスタイルにあやかって、あなたもぜひこの美しいラッキーチャームを手に入れてほしい。

チャリティエディションとなるスノーマンには赤いマフラーが巻かれている(2016年11月24日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko Akiyoshi

■関連情報
・アリータ 公式HP:http://aliita.com/
(c)MODE PRESS