【11月30日 AFP】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は29日、イラク軍がイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)からの奪還作戦を続けている同国北部モスル(Mosul)で、ここ数週間の間に新たに市民数十人がISがに殺害された疑いがあると明らかにした。その中には逃げようとしていた7歳の子どもが含まれていたという。

 イラク軍は6週間前に同国内にあるIS最後のとりでモスルの奪還作戦を開始したが、OHCHRによるとこれ以降、ISは数百人を「処刑」として殺害してきた疑いがもたれている。ただ残虐行為の一部については明確には確認できていないとしている。

 OHCHRのラビナ・シャムダサニ(Ravina Shamdasani)報道官はジュネーブ(Geneva)で記者団に対し、モスルでのIS残虐行為に関する最も直近の報告の中には、22日にモスル東部のアダン(Adan)地区でイラク治安部隊(ISF)のほうへ走って逃げてきた7歳の子どもが撃たれて殺害されたものがあったと述べた。OHCHRによるとISの狙撃兵はモスルを脱出しようとする市民に向けて無差別に銃を乱射しており、7歳の子どももこれに巻き込まれて死亡したという。

 さらにシャムダサニ報道官は、モスル東部のバキール(Bakir)地区で11日に起きた虐殺行為で、自宅の屋上に発射装置を設置してロケット弾を発射するようISに求められたが拒否した市民12人が銃殺されたとの報告を受けたと明らかにし、ISがモスル市内各所の民間人宅の屋上でロケット発射装置の設置を進めているとみられると語った。(c)AFP