【11月21日 AFP】英ロンドン(London)にあるバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)で、老朽化のため水漏れしている配管や火災の危険がある配線を交換する大規模改修工事に、英政府が計3億6900万ポンド(約500億円)を支出する計画が明らかになった。工事期間中は、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)も宮殿内の別の部屋へ「引っ越し」を余儀なくされるという。

 18世紀に建てられ増改築を繰り返してきたバッキンガム宮殿では、第2次世界大戦(World War II)直後にドイツ軍の空爆被害を修繕して以降、大規模な改修工事は行われていなかった。今回の改修工事は来年着工し、2027年に終了予定で、この先50年間の建物の延命化を図る。宮殿の屋根には太陽光発電パネルを設置し、観光客に公開するエリアも増やす。

 英政府は18日、改修費用として総額3億6900万ポンドを支出する計画を議会に提出した。英王室の不動産を管理する公的機関クラウン・エステート(Crown Estate)から王室へ支払われる補助金を、現在の15%から工事期間中は25%に増額して対応するとしている。

 英王室によれば、敷設から既に60年が経過した配線には「感電事故や火災が起きる深刻な危険」があり、「水道管の水漏れ」には絵画などが損傷する恐れがある。また、宮殿内のボイラーも30年前に設置されたものだという。

 王室関係者は、バッキンガム宮殿には部屋が775室あり、窓は760か所もあることや、交換する床板の面積がサッカーグラウンド3.5面分に相当する3万平方メートルに上ることなどを挙げて、改修工事の規模の大きさを説明している。(c)AFP/Dario THUBURN