南仏伝統菓子「カリソン」 中国の実業家が商標登録、地元は警戒
このニュースをシェア
【11月18日 AFP】南仏の古都エクサンプロバンス(Aix-en-Provence)の伝統名菓「カリソン」に、中国製の模倣品が出回る恐れがあるとして、フランスの菓子製造業者らが警戒を強めている。アーモンドやフルーツを練り込んだこの菓子の名を、中国で地元実業家が商標登録したためだ。
中国東部・浙江(Zhejiang)省の実業家、叶春林(Ye Chunlin)氏は、中国当局に菓子名の「Calissons d'Aix(カリソン・デクス)」と、発音の中国語表記である「Kalisong(カリソン)」を商標登録した。いずれの名称も、中国国内では2026年まで叶氏に独占使用権がある。
中国ではマカロンなどのフランス菓子の人気が高まっており、仏菓子製造業者らは将来有望な中国の菓子市場で、正真正銘のカリソンが中国製の模倣品に取って代わられるのではと危惧している。
フランス最大のカリソン製造元、ロワ・レネ(Roy Rene)のロール・ピエリスナール(Laure Pierrisnard)社長率いるカリソン製造者組合は既に、伝統名菓の名称を守るべく、中国当局に商標登録の異議申し立てを行った。
しかし、北京(Beijing)の欧州連合(EU)商工会議所は「中国では、最初に商標登録した人物の権利が保護されるのが通例だ」と指摘する。2007年に中国の皮革加工業者が自社の革製品を「IPHONE」の商標で登録した際は、米IT大手アップル(Apple)の怒りを買ったが、商標権侵害訴訟ではアップル側が敗訴した。
AFPは渦中の人物である叶氏に接触したが、同氏は商標登録について誠意を持って行ったと主張。「どの国にも、その国の法律がある」「私は規則にのっとってビジネスをしている」と述べた。(c)AFP/Francois BECKER, Julien GIRAULT