【11月18日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」はイラク軍の進攻を妨害するため、家電製品に爆弾を仕掛けたり自動車を使って自爆攻撃を行ったりと、これまでいくつもの「発明」をしてきた。そして、また新たな手法を思いついたようだ。通常は敵の偵察に使用している1機1000ドル(約11万円)の小型無人機(ドローン)を兵器にするのだ。

 イラク警察のフセイン・モアヤド(Hussein Moayyad)中佐は「これまでに3件の事件が報告された」とAFPに語った。モアヤド氏によると、ISはドローンに搭載した爆発物を投下するために、釣りの際に釣り針を遠くに飛ばす装置に似たものをドローンに装備しているとみられる。手投げ弾式の爆発物は、投下されるとピンが自動的に外れて作動する。

 この攻撃は比較的稚拙で今のところ効果は非常に低いが、別の方法で使用されたISのドローンは、より強力な破壊力がすでに証明されている。先月、爆発物が仕掛けられたISのドローンで、クルド人治安部隊の隊員2人が死亡、フランスの特殊部隊員2人が負傷した。

 ISはイラク軍の偵察のためにドローンを使用しており、イラク軍も敵の位置を確認するためにドローンを飛ばしている。イラク警察も独自の方法で、市販の装置を加えてドローンを改造している。

 コンピューターの修士号を持つモアヤド氏は、ドバイやトルコで購入したドローンを改造し、飛行距離やバッテリーの駆動時間をのばし、夜間撮影ができるようにした。敵の動きを捉えた時には、イラク軍の砲兵部隊や空軍、時には米軍主導の有志連合による空爆と連携してISに攻撃を仕掛ける。

 北部の都市モスル(Mosul)東部では、イラク軍特殊部隊が同様の目的でドローンを使用している。

 モアヤド氏によれば、イラク警察が使用しているドローンは、全体で約2万6000ドル(約280万円)の費用がかかった。

 イラク軍のドローンはISのものより高性能だが、ISがドローンを兵器として使い始めた今、正体不明のドローンをコントロールできるようにする装置を導入したいとモアヤド氏は言う。「ISはより大きなドローンを使用する可能性がある。それに化学兵器が搭載されれば、当然ながら、いっそう恐ろしいことになる」(c)AFP/Max Delany