【11月15日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が首都と称しているシリア北部ラッカ(Raqa)。そこに近い前線に向かうクルド人女性部隊に所属するカジワルさん(23)は、ただ一つの思いを胸に抱いている。女性を虐げてきた宿敵ISに、その報いを受けさせることだ。

 4WDを運転しながらカジワルさんは「クルド女性防衛部隊(YPJ)に私たちが加わっているのは、(イラクの)シンジャル(Sinjar)で拉致され(性奴隷として)市場で売られた女性たちの敵を討つため」と語った。YPJは今月5日に始まったラッカ奪還作戦に、男性兵士らに交じって参加している。

■IS戦闘員は「女性に殺されることを恐れる」

 カジワルさんが入隊したのは5年前。以来、スンニ派(Sunni)過激派組織との戦闘に複数回加わった。そうした戦闘の一つで、姉妹同然だった戦友を失った。以来、彼女の写真を、車のバックミラーに取り付けている。どこへ行く時も一緒だ。

 ISは2014年にシリアとその隣国イラクで掌握した地域に恐怖政治を敷き、イラクの少数派ヤジディー(Yazidi)教徒の女性を奴隷として扱ってきた。国連(UN)の専門家によると、約3200人のヤジディー教徒が今もISによって拘束されており、大半がシリアにいるという。

 そのISとの決戦に、クルド人女性数百人が参加している。カジワルさんによると、IS戦闘員らは「女性によって殺されることを恥と考えている。『ハラム』(イスラム教の禁止行為)だとみなしている」。そのため「私たちの声を聞くと非常に怖がる。だから私たちは進軍するたびに、前線で雄たけびを上げる」。カジワルさんは嘲笑するような口ぶりで話した。