【11月14日 AFP】今季限りでフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)を引退するウィリアムズ(Williams)のフェリペ・マッサ(Felipe Massa)が13日、最後の母国レースとなる第20戦ブラジルGP(Brazilian Grand Prix 2016)に臨んだ。

 レースでは、雨に濡れたコースでスピンし、バリアーに衝突して46周目で途中棄権するという結果に終わったものの、最後はホームのファンの大声援を浴び、さらに他チームのスタッフが作る花道で送られながら、感極まった様子で母国での最後の戦いを終えた。

 幸い、クラッシュによるけがのなかったマッサは、損壊した車を出ると、ブラジル国旗をまとい、メーンストレート前スタンドの満員の観客に向かって手を振りながら、ピットレーンへ戻っていった。

 ウィリアムズのガレージへ戻る際には、メルセデスAMG(Mercedes AMG)とフェラーリ(Ferrari)のスタッフが、降りしきる雨のなかピットを出て拍手でマッサを送った。特にフェラーリの面々はマッサと抱き合い、元所属ドライバーへの愛情を目いっぱい表現した。

 パドックで最も愛されたドライバーの1人であるマッサは、必死で感情を抑えながら、「今の気持ちを説明するのは難しい。ここは僕にとってすごく特別な場所なんだ」と話した。

 インテルラゴス・サーキット(Interlagos Circuit)の近くで生まれ育ったマッサは、レース観戦の常連として、少年時代の多くの時間をこのサーキットで過ごしてきた。

「どうしたらいいかわからなくて、あそこでただ立ち止まっただけだったんだけど、みんながあの場で示してくれた思いは本当に特別なものだった」

「とにかく『ありがとう』とみんなに言いたい。この世界の一員になれたことを誇らしく思うし、その気持ちを説明するのは難しい」

「こんな形で終わりたくはなかったけど、この日のことは一生忘れないと思う。みんなのことは、この先ずっと僕の心に残り続ける。決して忘れられない1日になった」

 ブラジルGPで、マッサは2回の優勝を飾っている。2008年には、この大会で優勝して年間チャンピオンに輝くかに思われたが、最終周で順位を上げたルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)に最後の最後で逆転され、王座獲得はならなかった。(c)AFP