【11月12日 AFPBB News】「地下神殿」という異名を持つ巨大な調圧水槽を有する、埼玉・春日部の首都圏外郭放水路(Metropolitan Area Outer Underground Discharge Channel)。今年で完成10周年を迎えた同施設で12日、特別見学会が行われ、約1万人の見学者が壮大なコンクリート建築美に歓声を上げた。

 首都圏外郭放水路は、地下約50メートルに約6.3キロにわたって延びる地下放水路。同県の中川など中小河川から集めた水の勢いを、調圧水槽で弱めてから江戸川に流す仕組みで、年に約7回稼働している。テレビ番組などのロケ地としても利用されていることから人気が高く、これまでにのべ約40万人が見学に訪れている。

 地上から116段の階段を下り、高さ18メートルのサッカーグラウンドほどの広さの調圧水槽に同僚3人と降り立った東京都の会社員、佐保山香織(Kaori Sahoyama)さん(28)は、「こんなに人が小さく見えるなんて新鮮」と驚く一方、「堆積した泥などを見て有事の際に役立っていることを実感できた」と語った。

 国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所の中村彰男(Akio Nakamura)副所長は、「治水施設の役割や仕組みを理解してもらい、今後も認知度を上げる取り組みを展開していきたい」と話している。(c)AFPBB News