【11月12日 AFP】米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が番狂わせの勝利を収めたことが世界中のニュースを独占している一方で、同じ日に米国の3州で行われた死刑制度の是非を問う住民投票で有権者が制度の復活または存続を選んだことが、死刑廃止論者に衝撃を与えている。

 オクラホマ(Oklahoma)、ネブラスカ(Nebraska)、カリフォルニア(California)の3州での住民投票の結果を受けて死刑執行件数が急増する見込みはないが、人権団体らは誤まった方向への一歩だとみなしている。

 人権団体「イコール・ジャスティスUSA(Equal Justice USA)」の代表を務めるシャリ・シルバースタイン(Shari Silberstein)氏は「これらの州は新たな夜明けに向かうチャンスを手にしながら、欠陥のある政策を選んだ」と非難。「死刑の廃止は必然だ。私たちはそれが正しいことを示す証拠を数多くそろえている」と述べた。

 今年は米国で執行された死刑の件数が1991年以降、最少の年となる見込みだ。死刑判決が下された裁判での再審請求はそれ以外の裁判よりも増加傾向にあり、死刑が執行されるまでの時間と費用は増大している。一方、薬殺刑で使用される薬物不足も起きている。死刑制度の廃止が進んでいる欧州に拠点を置く製薬会社を中心に、自社製品の提供を拒んでいるのが原因だ。

 死刑制度の是非は米大統領選の争点にはならなかった。ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領も、対立候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官も死刑には反対していない。だが政治的傾向が全く異なるこの3州の有権者が出した答えは、死刑制度への支持だった。(c)AFP/Sébastien BLANC